●事業承継の2017年問題
2017年、団塊世代経営者の年齢が一斉に70歳を超え、まさに事業承継の決断が喫緊の課題となっています。中小企業庁の調べでは、既に事業承継の準備をしていると答えた経営者は、50代で33.3%、60代で42.9%、70代で49.5%と、いずれも50%に満たない状況です。何と80歳代でも47.7%しか準備をしていないと言う結果で、経営者が高齢化する一方、事業承継は遅々として進んでいないことが示されています。特に創業経営者となると、ワンマンではないにしろ一代で会社を築き上げ、仕事オンリーの方が少なくありません。そのため、事業承継のことまで考える暇がなく、そのまま手をつけず今に至ってしまったケースが多いようです。ただ、事業承継では、後継者を決定するだけでなく、経営者が保有している株式や資産の整理、後継者への移転、また関係者との調整など、クリアしなければならないことが山積します。あわせて後継者の方への教育のことも考えると、事業承継にはある程度の時間が必要ですので、早めに準備をすることが重要です。中小企業庁のガイドラインでは、計画的な事業承継を進めるために60歳を着手の目安としています。
●事業承継の鍵は「後継者の育成」
事業承継をする上で、株式や事業用資産の整理や移転はもちろん重要なことですが、経営者の大きな悩みはというと「後継者をどう決めて、どう育てていくのか」に尽きると思います。ご子息の方が事業を引き継いでくれる場合はもちろん、従業員の中から後継者を選ぶ場合でも、引き継ぎは短期間でできるものではありません。後継者教育には、少なくとも5年から10年間は必要です。
なぜなら会社が今後も永続的な成長を続けられるかどうかは、後継者の方の経営者としての覚悟と力量にかかっているからです。
しかしながら、承継にあたって経営者側は「何から引き継ぎすればいいのか」、「社長交代で業績が落ちないだろうか」などの大きな不安や迷いを抱え、後継者側も「従業員は自分についてきてくれるのか」、「経営って何だろう?」「何から始めたらいいのだろう」などいろいろ悩みを抱えます。そこで当オフィスでは、後継者の方の教育支援として、「後継者の羅針盤」という勉強会を毎年開催しています。

「後継者の羅針盤」5か月65時間のスケジュールで、経営者になるための力を体系的・体験的に学んでいく
●経営の基本と本質を深く理解する
「後継者の羅針盤」では、実際に経営者として実践すべきことに重点を置き、企業経営の必須要素であるビジネスモデル、財務、人・組織、そして統治基盤の4つについて学び、事業承継と経営革新を行うためのノウハウを身につけていきます。難しい理論や知識ではなく、経営者として本当に知っておかなければならないことを体系的・体験的に、5か月65時間と言うスケジュールで深く理解していきます。あわせて経営者としての分析力と経営力を鍛えていくために、積極的な自己啓蒙のきっかけ作りも行います。
実は、経営者が変わる時に、見えなかった問題や気づきながらも対処していなかった問題などが一挙に表面化することが少なくありません。多くの人が経験するであろう事態に陥る前に、隠れていた問題を直視・分析することで、後継者の方がその問題に向き合うことができます。社長交代の時期だからこそできることをこの勉強会を通じて知っていただければと思います。
●後継者育成をしっかりサポート
経営者の立場として、どこかで潔く任せるという勇気が必要だと思います。いつまでも「私がいなくては」ではなく、どこかで判断して後継者に任せ、後ろ盾となる方が後継者も成長します。
まだまだ自分は働けるんだと思っていても、いつ病気で倒れてしまったり、認知症になってしまうかわかりません。そうなってからでは遅いため、10年近くかけて対策を立てていくことをお勧めしています。先延ばしにしてしまったがために、今ギリギリになっている人も多いようです。60歳くらいの時から準備作業をし、70代くらいで引退して、会長という立場で後ろから見守っていく形が望ましいと思います。この勉強会を通じて、後継者の育成とスムーズな事業承継をサポートできればと考えています。詳しくはお気軽にお問い合わせください。
●借金がある場合どうしたらいいの?
借金(負債)も相続されます。借金(負債)の方が多い場合、相続放棄や限定承認の手続きにより借金を引き継がない方法もあります。家庭裁判所に相続放棄申述書を提出して行います。この手続きは、自分が相続人であることを知ったときから3ヶ月以内に行わなければなりません。何もしなければ、借金を相続することもありえるので注意が必要です。
●遺言書が出てきたらどうしたらいいの?
相続財産(遺産)は相続人に帰属するが、亡くなった方が遺言によって定めているときは、亡くなった方の最終的な意思表示(遺言)が優先します。ただし、相続人全員の合意があれば分割協議で変更可能です。
公正証書遺言以外は、相続開始を知った後、遅滞なく相続開始地の家庭裁判所に提出し、検認を受けなければなりません。封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人または代理人の立会いにより開封します。勝手に開封することは禁止されています。注意したいのが検認手続きは、遺言書がそれぞれの形式を備えているかいないかを調査し判断するもので、遺言書の内容や効力まで調査判断するものではないということです。
●遺産分割は何についてどう話し合えばいいの?
相続人全員が協議に参加し、「誰が、どの財産を、どれだけ取得するか、その場合の条件」を話し合います。
(取材:平成20年6月現在)
相続に関してよくある相談内容について教えてください。
「何をどうすればよいか?」「手続きは何をすればよいか?」「相続税はかかるか知りたい?」「相続税対策はどうしたらよいか?」「遺言書を作りたいがどうしたらよいか?」などがよくあるご相談です。実際には、100人亡くなられたうち相続税がかかるのは5人位です。財産があるなしに関わらず、相続税がどうなるか心配されている方が多いようです。まず、相続財産を確認し、相続人が誰かを調べます。その後財産をどのように分けるかを考え相続税対策や遺言書を作成するとよいでしょう。
亡くなった後の手続きはどのようなものがありますか?
預貯金・土地、建物の名義変更手続き、保険・年金手続きなど色々含めると約70種類あります。預貯金の場合、亡くなった人の口座は凍結されるので配偶者でも払出しや引落しができなくなります。たちまちの生活費など、お困りになることがあります。公共料金など自動引落しにされている場合、その引落としもできないので、早めに手続きが必要です。また、不動産登記なども先延ばしにせず、名義変更をされたほうがよいでしょう。すべてをお一人でされるのは、たくさんの書類作成と時間、労力を必要としますので、専門家に任せられても良いでしょう。
〜金融機関の名義変更に必要な書類〜
■銀行預金の場合
・銀行所定の用紙
・被相続人の戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本
・相続人の戸籍謄本
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
■郵便貯金の場合 ・被相続人の戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本
・相続人の戸籍謄本
・同意書または遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
・本人確認書類
※詳しい手続きや必要な書類については各金融機関で異なるので、預貯金先に問い合わせて下さい。
〜公共料金の名義変更について〜
葬儀などで何かとお忙しいとは思いますが、公共料金の引き落としの名義が故人である場合は、できるだけ早く名義変更を行いましょう。
・電気、ガス、水道・・・各支払通知書の連絡先に電話で申し出る。
・電話・・・・・・・・・NTT窓口で「加入承継・改称届書」を申し込む。
《死亡診断書、戸籍謄本、印鑑等が必要になります。》
(取材:平成20年6月現在)